禁煙場所をつくる勇気
「好き勝手に飲んで、
車を運転して、
起こした事故でしょ。
うちは知らないよ。」
昨今の飲酒運転事故によって、
お酒を出す店は、そんな言い逃れが
出来なくなりつつある。
「いいよ、いいよ。
車を運転して帰ろうが、
うちで飲む人は自由だよ。
そんなこと気にして飲んでたら、
酒がまずくなるわよねぇ。」
と言ってくれるお店と、
「帰りは何で帰る気?
車を運転してきたんなら、
車のカギを預かるわよ。
車で帰る気の人には、
お酒は出さないからね。」
と説教するお店。
どちらが好かれるか?
と言ったら、どうでしょう…
お客に嫌われたくないと思ったら、
あまり説教じみたことは言いたくないのが
お店側の本音だと思う。
時々行く定食屋さんが、
今までは喫煙OKだったのに、
そういう事故があったせいか、
「飲酒後の車の運転は止めましょう」
という貼り紙の隣りに、
「思いやりの心…
タバコは吸わない人にも害です」
という貼り紙を並べていた。
そのうえ、それまで、
各テーブルにあった灰皿まで撤去。
完璧な「禁煙場所」になっている。
タバコを吸わない私にとっては、
かなり過ごしやすい空間になった。
そこで出される、
せっかくの美味しい定食も、
以前はタバコの煙で、
何かしら半減したように思えたり、
流れてくる煙が多くなると、
早く店を出たくなって、
どことなく落ち着いて食べられないと
感じていた。
ところが、その貼り紙が登場した先日は、
落ち着いて、美味しく食べられた。
タバコを吸わない人間にとっては、
ありがたいことである。
しかし、タバコを吸う人間にとっては、
イヤなことだろう。本気で、
そこのお店の定食に惚れ込んでいない限り、
だったら、タバコを吸える別の店で
食べてやるよ、なんていう人がいても、
おかしくない。
忙しい仕事、嫌な仕事の合間に、
自由にタバコが吸えないなんて、
たしかに気の毒だ。
(いっそ、止めてしまえば、
そんなタバコとのしがらみも切れて、
本当はいいんだろうけど…)
そこの定食屋さんには、
だいたい、同じような時間に行くのだけれど、
心なしか、お客が少なくなっていた気がした。
以前は、タバコの煙がけっこう流れていたけど、
お客もかなり入っていたのが、
そんなふうに変わってしまったもんだから、
ちょっと気の毒な気もした。
おそらく、そんなことになることを
予測しながらも、勇気を出して、
始めたんだとは思う。
そう思うと、
その勇気をサポートするために、
これからは頻繁に行ってあげよう、
という気がしてきた。
