雨になった少女(12)
(チロさんからのネット小説です。)
卓は、部屋にいた。
特にやることもなく、
部屋中に視線を泳がせていた。
「ふぅ…」
最近いろんなことがあった。
知渡瀬が、まえの学校での友達(?)に
よひだされて危ない感じになっていたり、
その後、急に話さなくなったり…。
どうして、僕は何もできないのだろう…
慰めることもできない。
ただ、突っ立ってるだけ。
だんだん恥ずかしくなって、
自分に、ひどくいらだつ。
なぜか、顔を隠したくなる。
誰もいないのに。誰も何も言っていないのに、
一人でため息をついたり、きゅうに赤くなったり。
こんなとこをみんなに見られたら、
なんだか、バカみたいって思われそう…
ここに誰もいないことが、とても幸いに思えた。
本当に何もすることがないので、
テレビでも見ようかと立ち上がると、
電話がなった。
「もしもし」
『聞いて聞いてぇーっ!!』
この元気な声は、美咲だ。すぐにわかる。
「どうした…?」
『チセがだんだん話せるようになってきたのーっ!』
「へ、へぇ〜」
やっぱり。女の子どうしのほうが
話しやすいのかぁ〜。
『ちょっと、ちょっと、ちょっと、
何よ、その反応っ!もっと、よろこんでよっ!』
「わ、わ〜い」
わざとらしく言う。
『もおっ!おちこぼれのくせに生意気よっ!
私がいなきゃ、なーんもできないくせにっ』
「………」
た、たしかに。
キ、きつい一言。
美咲がいないと、何にもできないかもしれない。
知渡瀬ともうまくいかないかもしれない。
こんな自分が、また情けなくなってきた。
『卓……?』
「………」
『どしたの…?』
(あぁ…僕ってなんてダメなんだろう)
『卓ってばっ』
「う、ううん。別になんでもない」
『そう?ならいいんだけど…
じゃ日曜に。寝坊すんじゃないわよ!』
「はいはい…」
美咲の元気に蹴飛ばされた感じで、
電話を終えた。
美咲が先に受話器を置いたので、
ツーツーツーという音だけが残された。
単調な音。なんか、自分みたいだった。
たまらなく、何かしたくなった。
こんな自分がくやしくて。
美咲がいないと何も出来ない自分が憎くて。
何か、何か、自分の力でできることは━━━━━━━━‥‥‥?
(あるじゃないか…)
僕に出来ること。





